事務所概要プロフィール所在地・地図知財コラム


知財コラムへ戻る

「阪神優勝」交渉決裂

2003年9月3日

 「阪神優勝」の譲渡交渉が決裂し、阪神球団側が法的手段を取る旨、報道されていますが、一部誤解されていると思われる内容がありますので、以下に簡単にご説明いたします。

[無効にする手続]
 まず無効にする手続は、商標登録に対するもので、商品の販売を無効にしたり止めさせたりするものではありません。商標登録を無効にするには、特許庁に対し、審判を請求しなければなりません。

 無効審判が請求された場合、審判請求書の副本が被請求人(商標権者)に送達され、被請求人は答弁書を提出する機会が与えられます。その上で、3名または5名の特許庁審判官が審理し、商標登録を無効とするか否かの審決を出します。その審決に対し不服がある場合は、審決の取消を求めて東京高等裁判所に出訴することもできます。

 無効理由としては、「阪神優勝」における「阪神」は「阪神タイガース」を認識させる、そのために阪神タイガース以外の者が「阪神優勝」の商標を使用すると、その商品が阪神タイガースが取り扱う商品であると需要者に誤認させる、といったことを基調として、論理展開される、と考えられます。

[使用の差止め]
 また、阪神球団が「阪神優勝」と表示したTシャツを無断で製造、販売する者に対し、製造・販売の差止めや損害賠償を求めて、地方裁判所に出訴することもあり得ます。

 これは、不正競争防止法に基づくものであって、商標法に基づくものではないと予想されます。したがって、訴えを提起する者や提起される者が登録商標を所有しているか否かは関係がありません。もしこの訴えが認められると、商標権者であっても商標「阪神優勝」を使用できないこととなります。

知財コラムへ戻る

 Website designed by CAS.