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商標「NPO」の異議決定に対する一私見 (01・目次/02/03/04/05/06/07/08/09/10/11/12/13)

は、非営利組織と経済的又は組織定期に何らかの関係がある者が発行又は販売している雑誌、新聞と誤認し、需要者が出所について混同するおそれがある。

 

3.取消理由
 特許庁は、平成16年6月17日付で、角川に対し、商標法第3条第1項第6号違反を根拠として本件商標の登録を取り消すべき旨の通知をした。その要旨は、以下のとおりである。
 (1)「NPO」の語について

@ 本件商標を構成する「NPO」の欧文字は、「Nonprofit Organization」の略語であって、行政・企業とは別に社会的活動をする非営利の民間組織を意味する語である。

A 平成10年法律第7号により公布された「特定非営利活動促進法」が「NPO法」と、同法の規定に基づき認証された法人が「NPO法人」とそれぞれ、略称されている。

B 近年、公益的な市民活動の進展に伴って、その活動を支える法的基盤整備の必要性が唱えられるようになり、民間をはじめ、政府・政党レベルでの対応・提言もなされ、これらの動きが、平成7年1月の阪神淡路大震災を契機に急激に高まり、国会においても検討がなされ、NPO法案提出へと進んでいった。さらに、これらの動きと並行して、公益的市民活動を目的とする団体についての研究・検討等も進められていた。

C 平成10年3月のNPO法の成立、同年12月1日の同法の施行に伴って、国会議員によるNPO法人の活動を推進する組織が設立され、内閣府内にはNPO室が設置されるとともに、NPO法に関する国や地方公共団体による施策も推進されていった。

D 本件商標の登録査定日は、平成15年2月25日であるところ、「日本経済新聞 2003年(平成15年)2月16日付」によれば、NPO法に基づく認証法人数が同月末に1万件を超える見通しである旨の報道がされ、また、同年7月末の時点では、累計12359のNPO法人の認証がなされている。

E NPOに関する学術研究組織も設立され、研究・活動交流も行われていた。

F この間、NPOに関する数多くの書籍の出版や新聞報道がなされ、近年これが顕著になっている。

G NPO法人はNPO法により、少なくとも年1回は事業報告書の提出及び公開が義務づけられており(NPO法29条)、また、NPO法人を含む多くのNPO団体が「NPO」の文字を含んだ題号の機関誌等(例えば、「人と組織と地球のための国際研究所」が発行する「NPOマネジメント」、「北海道NPOサポートセンター」が発行する「北海道NPO情報」、「かながわNPO研究会『あむ』」が発行する「かながわNPO通信」、「大阪NPOセンター」が発行する「大阪NPO通信むすび」、「日本NPOセンター」が発行する「NPOのひろば」、「NPO議員連盟事務局」が発行する「NPO議員連盟ニュースレター」)を発行している。

 (2)本件商標の自他商品識別力
 以上によれば、「NPO」の語は、これに関することを内容とする「雑誌,新聞」等の定期刊行物や書籍の題号の一部として、既にNPO法人等や、各出版社間で広く使用されている事情にあるから、該語は、自他商品の識別機能を有しない商標であるというべきであって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

4.角川の反論
 (1)本件商標の登録妥当性

@ 商標権の効力範囲
 NPO法人等が発行する機関誌の多くは、商標法上の商品ではないため、それらには当然にして商標権の効力は及ばない。
 また、書籍の題号は、原則として商標として認識されず、「NPO」の語を題号とする書籍、または「NPO」の語を題号の一部に含む書籍にも、原則として本件商標の商標権の効力が及ばないから、本件商標が存在しているからといって、書籍の題号に「NPO」の語が使用できなくなるわけではない。

A 雑誌のタイトル商標の特殊性
特許庁「商標審査基準」は、「新聞,雑誌」の題号は、原則として自他商品識別力があるものと規定しているが、(a)「新聞,雑誌」は、掲載内容が需要者にわかりやすいようにテーマ名自体又は主たるテーマを含んだタイトルを雑誌名として選択することが一般的に行われているという特殊な実情が

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