商標「NPO」の異議決定に対する一私見
古関 宏
目次
1.事実の概要
2.異議申立ての理由
3.取消理由
4.角川の反論
5.異議決定の内容
6.私見
(1)商標法第3条第1項第3号と同第6号の関係
(2)商標法第3条第1項第3号適用の妥当性
@ 自他商品識別力について
A 独占適応性
B
商標法第3条第1項第6号の適用性について
(3)結語
「雑誌名『NPO』『ボランティア』\商標取り消し\角川に特許庁独占認めず」
かかる見出しの下、5月19日付朝日新聞朝刊の1面トップに商標「NPO」等の異議決定に関する記事が掲載された。
知的財産権にあまり関心のない一般の方々に広く「商標」の異議決定なるものが存在することを知っていただけたことは、商標を専門とする弁理士にとって喜ばしいことではあるが、あの異議決定が朝日新聞の1面トップを飾るほどの事件であったのか、甚だ疑わしいと云わざるを得ない。本稿では、その異議決定の内容を検討し、その妥当性について私見を述べる。
1.事実の概要
株式会社角川ホールディングス(出願時は、株式会社角川書店であった。以下、「角川」という。)は、2002年1月18日に標準文字で表した商標「NPO」を第16類「雑誌,新聞」を指定商品として出願したところ、先願の登録商標に類似するとの拒絶理由通知を受け、意見書を提出することにより1
、2003年
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註1:
なお、この拒絶理由は、後述する登録第4438342号商標「tCG/NPO」に類似するとのことであったが、非類似である旨の意見書が容れられ、登録されるに至っている。
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