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商標「NPO」の異議決定に対する一私見 (01・目次/02/03/04/05/06/07/08/09/10/11/12/13)

・ 登録第4759271号


・ 登録第4763701号


・ 登録第4773590号

 商標の実務や効力範囲を知っている者であれば、本件商標が「NPOジャーナル」の登録や使用の障害にはならないことは容易に理解し得たはずである。例えば、或る雑誌の特集記事として「特集NPO」と題して発行することは何等問題ないし、NPO各団体が「NPO」に関する雑誌を発行することができなくなるわけでもない。ただ、雑誌の題号として、「NPO」と同一視し得る商標を使用することができないだけである。「ゴルフ ジャーナル」と「ゴルフマガジン」、「科学ジャーナル」と「科学」、「福祉新聞」と「福祉ジャーナル」が併存して登録・使用されている事実が調査により判明していれば、容易に判断し得たはずである。
  また、NPO各団体が自己の名称を表示するために構成要素として「NPO」を含む商標を登録することは何等問題がないが、NPO団体ではない者が「NPO」を含む商標を出願・登録することが悪なのであろうか。NPO団体と何等関係のない者が営利目的で「NPO」を商標登録するのは如何なものかという議論があったが、NPO各団体が商標として出願している以上、それもまた営利目的と理解できる。即ち、商標の出願行為により、それらの表示を、商取引の対象となる有償の「商品」である雑誌等の識別標識として使用しまたは使用する意思を有していると理解できるからである。
 さらに、NPO団体以外の者がNPOに関する記事を内容とする刊行物を発行することはできないとすべきなのであろうか。決してそうではあるまい。
 ましてや、角川による「NPO」の商標登録の存在によって、NPO各団体の活動が阻害されるものでもない。
 以上、筆者は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号にも同第6号に該当するものでもなく、また諸般の事情を考慮しても、なお本件登録異議の申立ては成り立たないと判断すべきであった、と考えるが、如何であろうか。

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