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商標「NPO」の異議決定に対する一私見 (01・目次/02/03/04/05/06/07/08/09/10/11/12/13)

 と「アルバイトニュース」(審判昭50-701)
 なお、これら「アルバイト」に関連する商標については、商標権侵害訴訟の場面でも争われている(大阪地裁昭和48年4月25日判決 昭和47(ワ)471、大阪高裁昭和50年10月24日判決 昭和48(ネ)736)。その地裁判決において、以下のように述べられている。
 業界新聞、専門誌等の印刷物に、その掲載内容の関係部門を示すため、その業界、専門等の名を冠して、新聞、ニユース、情報、速報その他情報を意味する語を接続させた文字を商標として附すことが、一般に取引業界における慣行であるということができる。ところで、現在の如く極度に発達した情報化社会にあっては、業界あるいは専門分野に関する印刷物が多数発行され、あるいは発行されるべきことは、自然の勢いであって、これを阻止することはできないであろう。しかしながら、既に刊行物を指定商品とする登録商標が存するときは、需要者が商標の誤認混同を来さないよう、印刷物に附す商標の外観、称呼については格別の考慮が要求される。新聞等の出版事業が一般に解放されており、印刷物に附す商標が前記慣行により選ばれる関係上、商標の字義そのものはその刊行物が取り扱う内容を包括的に表わすに過ぎず、自ら一部共通あるいは全体として類似する結果となることを免れず、これを避けることは不可能ではないにしても極めて困難であるといわねばならない。したがつて、この種の印刷物に附す商標においては、商品の識別は、専ら商標の外観、称呼によるものが取引の実際であって、商標から生じる観念そのものは商品の識別能力に極めて乏しく、この観念には出所表示機能を期待し得ないものであると解されるのである。
 このように、新聞や雑誌の題号に関する商標の類否判断に際しては、観念の問題は重要ではなく、題名の同一性により、同一の出所に係るものであるとの認識を生ずるか否かという観点によって決せられる、と云える。
 さて、これらは、個別に争われた事例であるが、特許庁における審査は、どのようなものであったのかについて、ここで検証してみる。
筆者の調査したところでは、漢字「相撲」が「雑誌、新聞」等の定期刊行物を指定商品として登録されている(登録第1797208号)。

 

 この商標は、所謂相撲書体で表されているが、その書体の特殊性により登録が認められたのではなく、まさに漢字「相撲」について登録が認められたものである。
 そして、この登録商標「相撲」は、以下の商標と併存して登録されているのである。まさに、「雑誌、新聞」については、観念の問題は、一貫して商標の類否判断に影響を与えないとして審査されてきたことの一証左である。

・ 登録第0945614号「大相撲」

 

・ 登録第3125747号「大相撲年鑑」

 

・ 登録第4075900号「大相撲力士写真年鑑」

 

・ 登録第4372383号「大相撲中継」

 この登録商標「相撲」について、今回の異議決定の理由付け、即ち、「『雑誌,新聞』を指定商品とする商標が、一般的登録要件を有するか否かを判断するに当たっても、(ア)当該商標の構成や創作性の程度、(イ)当該商標を構成する語(図形等)に対する取引者や需要者(購読者たる一般の国民)の認識の程度、(ウ)その語(図形等)が指定商品との関係で一般的に

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